Masiero
マジエロ
(ヴェネト、トゥリッシノ)




イタリア北部ヴェネト州、ヴィチェンツァ近郊の丘陵地にある小さな蔵元「マジエロ」。創業者ジャンフランコ・マジエロは、土地と自然への深い愛情をもとに、1990年代後半、自らの畑でワイン造りを始めた。現在は娘のジュリアがその意志を継ぎ、父と共に家族で営んでいる。畑は標高400m前後に位置し、火山性と石灰質が入り混じる複雑な土壌に恵まれている。風通しが良く、昼夜の寒暖差が大きい環境は、ブドウに緊張感と奥行きをもたらす。マジエロはこの土地の個性を損なわぬよう、早くからビオディナミ農法を実践してきた。化学肥料や除草剤は用いず、牛糞堆肥や草生栽培によって土の生命力を育む。醸造では、人の手を極力控え、天然酵母による自発的発酵、温度管理を行わず、清澄もろ過もせず、ワインが自ら落ち着くのを待つ。こうして生まれるワインは、年ごとに異なる表情を見せながら、畑の息づかいや空気の移ろいをそのまま映し出している。マジエロの哲学を象徴するのが、ワイナリーのホームページに掲げられた言葉だ。「ワインについて語るな。静かに飲め。ワインが語る。」その静けさのなかに、彼らの姿勢がある。言葉よりもワインに語らせること、そして自然の声を邪魔せず見守ること。グラスの中に広がるのは、風や光、土の感触、そして人の手仕事の温度だ。整いすぎることよりも、そこに生きた痕跡が残ることを大切にしている。完璧さではなく、ゆらぎの中に宿る美しさを信じる造り手。マジエロのワインは、静かな余韻とともに、ヴェネトの大地が語る小さな物語をそっと伝えてくれる。

Lazaro ラザロ
白(オレンジ)
ぶどう ガルガネガ100
畑 標高400m 石灰質土壌 植樹1990年 ビオディナミ農法
収穫 ハンドピック
醸造 除梗後セメント槽でのマセレーション(3ヵ月) トリネコ材の発酵槽による発酵
天然酵母 温度管理なし 清澄なし ノンフィルター
熟成 大理石槽
生産本数 3,000本

Urban ウルバン
赤
ぶどう カベルネ・フラン100
畑 標高400m 石灰質土壌 植樹1940年 ビオディナミ農法
収穫 ハンドピック
醸造 オーク発酵槽による発酵 天然酵母 温度管理なし マセレーション(30-40日間)
清澄なし ノンフィルター
熟成 セメント槽
生産本数 5,000本

Verdugo ヴェルドゥーゴ
赤
ぶどう メルロー
畑 標高400m 火山性土壌 植樹2001年 ビオディナミ農法
収穫 ハンドピック
醸造 オーク発酵槽による発酵 天然酵母 温度管理なし マセレーション(20日間)
清澄なし ノンフィルター
熟成 オーク樽(1年間)
生産本数 4,000本